[2016/10/16] グローバル内部通報制度の導入

海外子会社の不祥事を海外子会社の社員がダイレクトに日本の親会社が設置する窓口に向けて通報する制度(以下「グローバル内部通報制度」という。)を導入する企業が増えています。

例えば、日本企業が海外の会社を買収し、グローバル展開を図る一方で、海外子会社の経営状況を適切に把握し・管理できないなど、PMIが十分に実行されずに、日本の親会社とのシナジーを生まないケースや、海外子会社の経営管理が、派遣された日本人社長任せになっており、日本の親会社が、ほとんど管理に関与できない状況となっているケースが散見されます。

さらには、海外子会社が、親会社から独立した法人となり、親会社が管理しようとしても海外子会社の情報が取れない事態や、情報が取れたとしても、親会社からの経営指導に従わないなど、海外子会社の管理が難航する実態も見られるところです。

この背景には、日本の親会社とのカルチャーの違いや言葉の壁、地理的要因に基づく情報フローの停滞といった阻害原因があると思われます。

もとより日本企業同士のM&Aにおいても、M&A当事会社がシナジーを発揮し、互いの競争力を融合し合うことは一筋縄ではいきませんが、これが日本企業と海外企業となれば、両者のギャップが増幅され至難の業となります。

そこで、海外子会社の不祥事や不祥事の種を効果的に吸い上げる1つの方策として、「グローバル」内部通報制度が有効です。このグローバル内部通報制度は、海外子会社が会社ぐるみで不正を隠ぺいを図る、いわば、企業にとって最もリスクの高い不祥事類型を防止する目的があります。

グローバル内部通報制度の制度設計に際しては、以下の世界各国の制度設計に影響する可能性がある各規制に従う必要があります。この点、単にグルーバルの言語に対応できる窓口のみを設置することが、グローバル内部通報窓口の設置であるとの誤解がありますが、通報者・被通報者の属する会社の法域によって、アレンジが必要です。世界各国の制度設計に影響する可能性がある各規制を遵守するためには、単一の業務フローでは対応できません。

(参考記事)M&A専門誌 マール 2016年11月号 265号 : M&A戦略と法務
PMIにおける海外子会社管理の処方箋 有料記事です
~グローバル人事制度・グローバル内部通報制度導入を契機として~ 
大井 哲也(TMI総合法律事務所 弁護士)
https://www.marr.jp/genre/practical/legal/entry/6516

 

規 制 内 容
内部通報制度規制 内部通報の通報者の範囲
被通報者の範囲
通報対象の事案の範囲
匿名通報の拒否、顕名通報の強制
個人情報保護法 国外移転規制 通報者・被通報者の個人情報を
国外移転することができるか。
労働法 通報者の労働法上の保護
通報者に対する報復行為の禁止

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