[2020/12/12] クライアントワークで目指すもの

クライアントワークで目指すもの

これは、法務系アドベントカレンダーでのブログ投稿です。

#LegalAC

クライアントワークとは?

クライアントワークとは、クライアントが内製化できない案件やタスクを外部受託者である弁護士に依頼し、クライアントの法律上の課題をクライアントとチームを組成し、クライアントの一定のゴールを共に目指す協働作業である、と思っている。

単に「受託ビジネス」でしょ?とも言えるが、そこに言い尽くせない意味がある。受託ビジネスの矜持がある。

クライアントワークは、案件のソーシングと案件のデリバリに分けられるが、ここでは、案件のソーシングと案件のデリバリの両方の局面において、自分が業務を通じて、「こうありたいな」というクライアントワークで目指す理想像を同じチームで仕事をしている弁護士に、また将来一緒に仕事をする先生方や協業している方々に、さらには、クライアントの皆様に宛てて、纏まりなく思いつくままにお話ししたい。

「まあ、そんな考え方もアリのかな?」という程度に週末の夜に聞き流してもらえれば。

 

クライアントの関心事と弁護士の関心事とは異なる

クライアントの関心事は、ひとえに、会社の実務(コーポレートアクションと言っても良いかもしれない。)に繋がる意思決定とその実行が何よりも重要である。

企業では、日々、あらゆるビジネスにおいて意思決定が積み重ねられて、期限を以て実行され、それを上場企業であれば、月次・四半期・半期・年次で結果を出し、公表していく。

リーガル部門やそこから依頼を受けた我々は、この会社の実務の一端を担うのみ、特に多くの経営における意思決定の一部しか担わない。

会社経営は、無数の考慮要素、KPI、変数(パラメータ)を総合的に勘案して取締役会や社長、様々中会議体が意思決定をするが、この考慮要素で重要なのは、間違いなくビジネス機会・売上・利益であり、最後にリスクファクターが来る。

弁護士の関心事は、往々にして、クライアントから与えられた課題を、いかに正確に、間違いなく、プロとして、質を保ちつつ、法令上の解釈や事実認定をして正解を出すか?に神経を注がれる。特に法令上の解釈に間違いがあるとそれはマルプラクティスとして、完全に弁護士の責任となるので当然ではある。

しかし、ここにクライアントの関心事と弁護士の関心事に溝が生まれる。

 

評論家や学者はいらない。欲しいのは実務家

企業のクライアントの皆様が欲しいのは、「企業」法務を実践する者であり、法律学の学者や評論家ではない、お勉強ではない。会社のアクションの実践者であり、研究者ではない。

論評には、余り意味はない。法律学の評論家はいらない。

クライアントの課題を題材にして、あれや、これやと喧々諤々とした壮大な論評を繰り広げられて、工数をとって、時間をとって、挙句の果てには、タイムチャージがかさばるのを喜ぶだろうか?

弁護士は、自分も含めその根底に職業的探求心があるので、ある悩ましい法的な論点に出くわすと、「とことんまで議論し尽くしたい」「論点の行先を解明したい。」という根源的な欲求を持っている。特にそれが高度な解釈技術を要する難しい論点であればなおさら。

先輩・後輩関係なく、チームで議論し、一定の結論を出すまでディスカッションするのは、弁護士業務のまさに醍醐味である。

しかし、そこに、「クライアントからどう見られているか?」のクライアントの目を意識しない限り、それは単なる趣味と化す。クライアントワークである以上、どのような工程を辿ったかを可視化し、また、この趣味的な工程が、成果物のどこに反映されたのか、ひいては、コーポレーションアクションのどの部分に貢献したのかを説明できなければならない。

弁護士の探求心、細部の拘り、ラストワンマイルは、果たして企業の経営判断にとって重要か?どれだけのインパクトを発生させるのかを、常に意識したい。

 

企業の意思決定プロセスを遅延させる「納期遅れ」はもってのほか

クライアントワークは、スピードが命である。

企業は、無数の考慮要素、KPI、変数(パラメータ)を考慮して、また、多層的な会議体の決定プロセスを経て意思決定しているので、リーガルという1パーツが欠落することは、大きな悪影響を波及的に与えてしまうことになる。

この現実的切迫感を持ちながら仕事を進める必要があるのであるが、残念ながら、アウトサイダーである外部弁護士には、この切迫感を持ち合わせていない人がいる。

また、企業や案件によって、生きている時間軸や時間間隔が全く異なるので、そこに上手くフィットできないこともある。

 

「先生の第一印象、所感は?」方向性だけで良いので今、教えて欲しい。

上記のような企業の意思決定プロセスから、このような、前提となる事実関係がはっきりしない中(特に法務部門にエスカレーションしていない。)で、このような質問を受ける企業ニーズも極めて大きい。

多層的な意思決定プロセスや、プロジェクト進行中にリーガルマターの欠落が発見され、直ぐに弁護士見解を取って欲しいというケースである。

また、事業計画が未成熟の段階であるために、大きな方向性だけを見極めたいケース。

事業計画がまだほやほやのアイデアにとどまるため、予算がつかないケース。

様々なニーズが突発的に発生する。

ここでの弁護士の基本的な対応は、

「事実関係の細部をお伺いしないと、軽々に判断できるものではありません。別途、細部の事実関係を質問させてください。」これはこれでプロとして正しい姿なのだが、単に不確定な情報の中で、判断することから逃げている場合もあるのではないか?しっかり内省したい。

 

受託者としてプロであれば、ユースケースが蓄積されている

弁護士自身の中に多様なユースケースを蓄積する引き出しを持っていれば、違法・適法のグラデーションの中で、どの辺に位置づけられそうか、自身が持っている類似のユースケースのどのカテゴリに位置づけされそうか、の感覚を持っている。

それはクライアントではなく、受託者にこそ蓄積されているはずである。

経営判断は、まさに不確定な情報の中で「よりマシな意思決定」を瞬時に行うことを突きつけられている。

クライアントに前提事実を要求するのではなく、時には、弁護士から、このパターンのサービスではないか?というユースケースを提示しながら事実関係を引き出していくことも求められる。弁護士だけが、前提事実が整理された綺麗な問題用紙が配布されるわけではない。

また、何でもかんでもクライアントに質問する態度もおかしい。当然の前提となっている業界慣行や普遍的なサービスについて質問することは、自分が無知であることを自白しているようなもの、自殺行為である。

不確定な情報を自身が蓄積するユースケースや経験から、逆にクライアントに対して「このようなサービスではないですか?」と水を向けることでより精度高く情報を吸い上げるのは受託者の仕事である。

自分がアソシエイトの頃に、顧問クライアントに自社サービスについての詳細な質問をしたとき、クライアント社長から「先生方は、当社のことを知ってくれていないのですか?何のための顧問ですか?」と激怒というか、落胆された場面を目にした経験は鮮明に覚えている。

 

即答すること・断言すること

評論家はいらない。そのため曖昧は意思決定に貢献しない玉虫色の、どちらにでも読みうる結論のない意見は無用である。弁護士のリスク回避特性の悪い面として、どちらにも読みうる玉虫色の回答をして煙にまく手法は、まさに評論家の悪い姿勢である。

企業のアクションに繋がらない、単なる「感想」も無用である。

会議やメモの末尾は、必ずネクスト・アクションで締める。

さらには、土地勘、業界慣行から乖離した机上の理想論・空論のようなアドバイスはしないこと。どうしても法律的要請から、業界慣行に反するような回答をせざるを得ない場合には、現在の業界慣行がはらむ現実的なリスクをセットで説明しないと説得力がない。

プロとして、原則論(理想論と言ってもよい)と、それが実務に照らしておかしな結論になってしまう場合の備えとして、セカンドベストを持ち合わせる。

 

持ち帰って検討します、次回の会議でご回答します。

クライアントの会議で、サービスの説明をされ、質問をうける会議の場面で、「持ち帰って検討します、文献調査してみて、細部を詰めて次回の会議でご回答します。」このような会議の場面はよくある日常的な光景である。

弁護士としては、慎重な、正しい態度かもしれない。

しかし、これは、クライアントにとっては、心許ない、不安感を持たせる効果しかない。

エベレストを登頂するために帯同するシェルパを想定事案に据えよう。

若いシェルパはこう答える。

「うーん。難しい登山計画ですね。ここでは、即答できないので、そのルートを持ち帰りまして、よくよく検討してみます。次回の作戦会議でご回答します。」と答えられたら、登山隊としては、不安がよぎる。本当にこのシェルパで大丈夫かな?とセカンドオピニオンを取りに走るかもしれない。依頼することを取りやめるかもしれない。

ベテランのシェルパであれば、こう即答する。

「ああ、このルートは、2018年12月の日本人チームの登山計画で来た道と似ていますね。難関ルートですが、このポイントを押さえることができれば、充分にトライできる道です。」「このポイントを押さえるためには、この点を次回までにしっかり検討したいと思います。また、このリスクを回避するための装備やチーム組成も洗い出しておきたいです。」

この2つのシェルパを比較すると、若いシェルパは、全くの素人さんかもしれないし、そうではなくて、実は、若いシェルパもベテランのシェルパも考えていることは同じかもしれない。しかし、クライアントが受ける印象は天地の差ほどでる。コーポレートアクションがワンテンポ遅延するからである。

仮に、本当の意味で登山計画を慎重に検討する必要があるのであれば、

「そのルートですか。。。そのルートは我々は、これまで推奨してこなかったルートです。なぜなら、こうこう、こういう理由でこれまでは避けてきたからです。別の登山隊は、2016年に一度、トライしましたが、結果、失敗し現場で迂回ルートを選択しました。」

「結論、そのルートを検討するのであれば、入念な準備・検討期間を余分に1か月確保してください。スケジュールの見直しをしてください。我々の検討時間も確保してください。」

と、断言する。

断言というのは、正解を断定することではなく、自分のポジションをクリアに打ち出すことである。断言できない微妙な課題は、それが「断言できない困難な問題にカテゴリされること」を断言する。ポジションをとることを意味する。

 

クライアントと心中する。だが、死なない。

弁護士のリスク回避の話し。クライアントがちょっと危険な登山ルートを採用するという経営判断をしたとき、

「それは、我々が推奨したルートではない、申し訳ないけど、リスクが高すぎて我々は同行できない、このプロジェクトは降りさせて頂きます。」

この態度はおかしい。

企業としては無数の変数(パラメータ)を考慮して、全体最適を考慮して出した経営判断であり、所与のものとして尊重すべきである。

あるべき姿は、こう。

「引き受けた以上は、谷底まで心中するつもりでお請けします。しかし、この登山ポイントだけは慎重に行きましょう。もし、この登山ポイントでイレギュラーな事象が発現したら、直ぐに登山計画を変更しましょう。そのための撤退基準と迂回ルートを今から設定しましょう。撤退基準はこう考えますが、よろしいですか?」

受託者は、クライアントと案件が命である。クライアントに迎合する必要はないが、その経営判断には敬意を払う必要がある。

 

タスクの3要素

クライアントワークの3要素は、プロダクト(成果物)、スケジュール、報酬金額である。

まずは、これらの3要素を明確に定義する。

これらの3要素(プロダクト、スケジュール、報酬金額)について会議で質問されたときには、その場で即答する。報酬の見積金額も同じ。見積金額を即答できないということは、解決までの工程、道のり、プロダクトのイメージを持ち合わせていないことを意味する。そして、見積金額は、固定金額とすること。

受託者サイドの都合から編み出されたタイムチャージ制度、人工商売は止める。

プロダクトや工程が受任当初において定まらない案件は別として、プロダクトと工程を定義する案件では、タイムチャージ制はできるだけ採らない。これでは、クライアント側での予算が付かない。

また、プロダクトも、クライアントのサービスに合わせて、こちらから最適なプロダクトを提案する。クライアントの当初の依頼内容に拘泥する必要はなく、クライアント側で気がついてなかった、本来解くべき課題をむしろ受託者側から設定し、提案する場面もある。

 

成果物も重要だが、見せ方も重要

プロダクトの見せ方やプロダクトの提供の仕方も同等かそれ以上に重要である。

重要なプロダクトについては「プロダクト説明会」もワンセットで行う。

そこでは、プロダクトの作成に至った思考過程の説明をする。成果物に込められた理由を説明し、クライアントのご要望に合っているかのチェックを行い、これにギャップが出ている場合には、プロダクトをチューニングして、再度提供し、修正ポイントを説明する。

 

プロダクトを説明する発言者の「ポジショニング」は現に存在する。

同じ成果物、同じアドバイスを提供するにしても、誰が提供するか、誰が物を言うかも受け手のクライアントの中では重要な評価のファクターとなる。

そして、クライアントに対して、説得的な説明をできる「ポジション」を構築するには、クライアントワークでの経験を蓄積して、経験から発言に滲み出る説得力を持たせるしかない。一つの案件の「点」ではなく、継続的なお付き合いの中での「線」でクライアントに貢献できたか?が問われるので、一朝一夕の努力では獲得できない。

 

では、受託者として何を準備すべきか?

最後に、受託者として具体的にどうアクションに繋げていくか?

散々、偏った自分の独自説であるクライアントワークの理想像を話してきたが、アクションに繋がらない評論では意味がない。

クライアントワークに心血を注ぎ、クライアントワーク経験を日々蓄積するしかない、と言えばそれに尽きてしまうのであるが、ここでは、クライアントワークをお請けするための方法と、クライアントワーク外での準備の方法について。

まずは、クライアントワークが命。

クライアントからご指名を受けて受任する「案件」が受託者にとっては、知識・知見・ノウハウ・経験を蓄積するためのいわば生命線であるので、クライアントにご指名される必要がある。これは待っていても仕方がない。

 

クライアントをナンパする覚悟を持っているか?

水が合うなと思う領域、水が合うなと感じた業界、馬が合うなと感じるクライアントと永く徹底的にお付き合いする、クライアントワークに心血を注ぐ。馬が合うなと感じる潜在的クライアントや、明らかに好みのタイプだけど、遠い存在の異性(クライアントになっていない企業)がいたら、ダイレクトにナンパすれば良い。

「案件をご一緒したいです」、とストレートな意思表示をすること。

その意味で、陰キャラ、引っ込み思案は捨てて、「なぜ一緒に仕事をしたいのか」をロジカルに説明できるようにしておくこと。こちらから意思表示をしなければ永遠に伝わらない。

このビジネスナンパは1発勝負が原則で、会った初日に話しが合わなければ、それはクライアントの課題感に対して共感できる引き出しを受託者側が持ち合わせていないことを意味する。そのため、そこからカッコつけて何度も頑張ってアタックしてもおそらく相思相愛にはならないであろう。

 

「控えめに言って、うちにやらせてください。」は名言である。

「行政デジタル化、浸透の鍵はユーザーインタフェース」のニュース記事に対するGoodpatch 土屋尚史社長のTweetである。クライアントのニーズと課題があり、サービスにおけるU/I構築領域の絶対的自信、それがクライアントニーズの芯を食って「それ、うちでなくて誰がやるの?」という意味である。

 

専門領域を狭める

「なぜ一緒に仕事をしたいのか」をロジカルに説明するためには、狭い領域で、しかしコアとなる領域で1番を目指すこと。

専門は何ですか?と問われて、「ITです。」「個人情報保護法です。」と回答するのは、広きに過ぎると思う。ITと一口に言っても領域は果てしなく広い。何も言ってないのに等しい。

インフラ・電気通信事業なのか、アプリレイヤーなのか、システムやアプリ開発なのか、アプリでも開発ベンダなのか、パブリッシャーなのか、IT企業なんて商売はない。日立製作所でもNECでもSI、ソリューション、クラウド、ハードウェア種々のサービスの集合体であり、ITという領域は存在しないのと同じである。

 

専門性とサービス起点

弁護士は、抽象化・規範化するのが得意な生物であるが、商売は、「概念」では動いていない。なるべく具体化して「サービス起点」で物を考える。究極的に具体化する。

私達のチームの専門は?と問われれば、「DMP(Data Manegement Platform)導入です。」と答える。

どんどん固有名詞を出して具体的にアウトプットを出す。「DMP」でもまだまだ広い。

私達のチームが求められるのは、トレジャーデータのTreasure Data CDP導入であり、

DACのAudienceOneであり、

SalesforceのMarketing Cloudであり、Audience Studioです。

これらの導入の際に課題となる導入企業側での個人情報管理、プライバシーリスクのコントロールが専門領域です、と来る。

人事データであれば、Workdayのグローバル人事管理であり、

SAPのSuccess Factorsです。これらの海外子会社をユーザとするグローバルレベルでの導入です。

これらの導入の際に課題となる海外の個人情報保護法や社員に対するモニタリング規制・労働法のケアが専門領域です、となる。

法律カットではなく、サービスカットで領域を絞り込む。できるだけ狭くコアに絞り込む。

領域を絞り込むことは、業務範囲が狭くすることを意味しない。なぜなら、上記サービスが日本の先進的な一部のトップランナー企業の応用問題とすると、日常的にお請けする案件のほとんどが、応用問題を構成するパーツである基本問題であるからである。また、お請けする局面や業務範囲も無限に広がる。

上記のDMPサービスを導入しようとするユーザ企業へのご支援のほか、これからDMPサービスを構築するベンダ企業、プラットフォーマーのサービス立ち上げや、データプラットフォーマーのM&Aやファイナンスが業務範囲となってくる。

 

クライアントワーク外での準備方法について。

ユースケースの重要性については既に述べた通りであるが、業界慣行の多様な引き出し(ユースケース)を持っていることは大きな武器となる。

出来れば、クライアントワークに深く関与し表層的な課題ではなく、担当者でなければ直面できない現場の悩みを経験していることが最重要なのであるが(だからこそ、クライアントワークをお請けすることが最重要であるということを強調したい。)、ここでは、クライアントワーク外でできる準備を説明する。

クライアントワーク外でも、入手できる公開情報はいくらでもある。

適時開示資料、プレスリリース、決算短信、決算説明会資料、サービス説明資料、ホワイトペーパー、サービスの現場、すなわち店舗、現物、すなわち商品を入手して徹底的に研究する。クライアントであれ、潜在的クライアントであれ、またはライバル企業であれ、できるだけ生のサービスに触れること。自分で買って、自分で経験すること。

 

ビジネス対する好奇心を持つこと

「クライアントのサービスを研究しよう」、と言っても、そこにビジネスに対する好奇心や関心がなければ、吸収率は悪いかもしれない。弁護士としては、あくまで法令知識や裁判例、各種レギュレーションに対する知見のアップデートが優先であり、日々のタスクをこなすことが最優先である。

そのため、息をするように知識や経験を欲しなければ、すなわち好きでやってなければ、クライアントのサービスやビジネスモデルを研究しようとしても、その域まで到達しないか、到達しても身にならないかもしれない。

好きでもない「お勉強」をいやいや仕事としてやっていても、それは血肉にはならないと同じで、ビジネスに対する研究は、強制されてやれるものではない。

ただし、クライアントのビジネスを好きになって関心が持てる状況になる前に、自分には合わないな、と諦めるのは未だ早い。

自分にとっての「仕事」とは「遊び」である。

「仕事」から「遊び」に転換したディッピングポイントがいつ来たのか、自分はもう忘れてしまったが、ツラい仕事のプレッシャーから心地よい緊張感に変わる転換点は必ず来る。

「仕事」が「遊び」に変わるときに、また、違う景色や違う楽しみが見えてくる。

それまでは、色々な分野について、「食わず嫌い」を排して、自分に水があう領域を模索して、それが見つかってから特定の領域に注力していけばよい。

どんな領域であっても、やればやるほど深みや、また違った次元と景色が見えてくるので、結論、どんな領域でも良いのであるが、苦にならない、何となく合っているな、という素の感覚を大事にして没頭できる領域を見つけること。それが受託ビジネスの特権でもある。

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