新会社の創業
本日、2019年12月3日にTMIプライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社を創業しました。
既に11月5日付け日経新聞「TMI総合、VC設立 法務関連事業に投資」にて報道されております通り、TMIの事務所として新規事業を行うプラットフォームとしてのVCを設立し、TMIの弁護士や弁理士の新規事業に投資をするスキームです。このスキームにより様々な事業をスピーディかつ機動的に行うことが目的です。
「TMI総合法律事務所(東京・港)は12月3日、所属する弁護士や弁理士が起業する事業に投融資するベンチャーキャピタル(VC)を設立する。VCを通じて個人データの利活用に関わるコンサルティング会社にも出資する。大手の法律事務所がVCを設立するのは初めてという。設立するVCはTMIベンチャーズ(同)で、資本金は1千万円。代表取締役には、TMI総合顧問で日商岩井(現双日)出身の堀龍兒氏が就任する。VCを通じて法務に近い新事業に投融資する。VCを介することで、他社との提携や事業売却が容易になる。投資の第1号案件は、個人データに関わるコンサルティング会社だ。TMIプライバシー&セキュリティコンサルティング(同)を設立し、5千万円を投融資する。代表取締役にはTMI総合の大井哲也弁護士が就く。」
法律業務と新会社のシナジー
新会社は、VCの投資案件第一号案件でありますので、特に私が注力したいのは、法律事務所の本業とのシナジーです。
これまで、法律事務所としては、リーガルサービスとして、データ利活用における個人情報保護法対応、GDPRその他各国法に基づくセキュリティ体制の整備、サイバー攻撃のインシデント対応や情報漏えい原因調査、再発防止策の策定を行って参りました。
しかし、クライアントである企業にニーズは、法対応などのリーガルサービスにとどまらず、企業が備えているセキュリティの技術的なアセスメントやデータのアナリティクス、データシンク(連携)、利活用そのものです。
リーガルサービスはその前提条件であったり、ビジネスにおける1つの武器に過ぎません。この企業ニーズを常々要望されてきたわけですが、晴れて新会社の新サービスとして企業の皆様に提供することが新会社設立の大きな目的となります。そのため、全く新しい領域へ起業するというよりも、本業のリーガルサービスの先に既に存在していた実需に合わせて、法律業務の殻を破って業態を拡大した、という説明の方がしっくりくるかもしれません。新会社では、2つの事業が柱となり、1つは、データの利活用支援。
- DMP/CRM導入支援
- 企業データ集約とデジタルトランスフォーメーション支援
- ビッグデータの匿名加工処理などリスク低減化プランの策定
- 匿名加工情報の再識別化リスクアセスメント
- データ利活用事業のレピュテーションコントロール、炎上対応
もう1つの柱が、データセキュリティ構築とインシデント対応となります。
- セキュリティアセスメント/プライバシーインパクトアセスメント
- 各国データ保護規制のセキュリティ要求事項の実装支援
- セキュリティ管理委員会の組成と運用支援
- コンティンジェンシープランの策定
- サイバーセキュリティ保険の導入支援
- インシデント発生時のトリアージ
- フォレンジックサービス
- 再発防止策の策定
- 再発防止のためのセキュリティ体制の実装
新会社の代表として、弁護士として
新会社を設立し、その代表としての業務を行うとき、元々の弁護士業務はどうするの?という疑問がわいてきます。新会社の役員は、全員TMIの法律事務所のとしての仕事がある中で新会社の設立、新会社のサービスメニューの構築、協業企業とのアライアンス、プロモーションを準備してきました。これは、単純計算で法律事務所としての業務×2倍の負荷がかかってきます。法律業務としても、目一杯案件をお請けし忙しくさせて頂いている状況なので、さらにどのように新会社の業務と両立していくか、ここが大きな課題となるわけです。しかし、幸いにして元々の弁護士業務と新会社の新サービスは極めて親和性が高く互いに相乗効果を発揮できるため、セキュリティ・エンジニアやデータアナリストの陣容を固めることで、より厚い人的基盤を備えることができると思っており、まさにこのことが法律事務所のサービスの拡充のキーポイントとなると考えています。弁護士とエンジニアの協働こそが、リーガルとテクノロジーの融合の起点となる、そのさきがけとなるミッションを新会社は担っていると思っています。
今後の展開
新会社設立日の初日のポストは軽めにこの辺りにしたいと思います。今後、まだまだ公けには言えない「仕掛け」を現在進行形で仕込み中であり、デジタルトランスフォーメーション、デジタルマーケティング業界、データセキュリティ業界におけるどこにもない唯一無二のポジションを取りたいと思っておりますので、「ど」ベンチャー企業らしく、何事にもとらわれず、自由に、迅速に、多動的に動き回りたいと思っております。
TMIプライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社 代表取締役 大井哲也
WEB https://tmiconsulting.co.jp